徒然なるままに in Niagara Falls

自然豊かなナイアガラでの生活を綴ります

カナダでのカレッジ経験談(長文です)。

もう10年以上前になりますが、永住権を取ったあと、地元ナイアガラのカレッジに2年間通いました。日本で当てはめると短大になりますね。永住権を取るとカナダ人と同じ扱いになるので、授業料がインターナショナルスチューデントの約三分の一になります。留学生が払う短大や大学の授業料は、大抵カナダ人の3倍くらいになります。10年以上前のことですが、カナダ人が一年で3〜4000ドルの授業料だと、留学生は10000ドルほど払っていました。もちろん、学部によって授業料は大きく違います。日本と同じように、医学部などは驚くほどの授業料です。特にここ数年で、北米の短大や大学の授業料は、恐ろしいほど値上がりしました。授業料に加えて留学生は、生活費がかかりますから、やはりお金がなければ留学はかなり難しいでしょう。カナダ人ですら、奨学金や学生ローンを駆使しても、授業料を払うのは大変なことになり、実家から通う若者が増えています。

北米では、子育ては18歳までで、子供たちが短大や大学に進学する場合、アジア系以外はほぼ家から出て自立する文化です。ですから、進学希望の子供たちは、小さい頃からアルバイト代やお祝いでもらったお金などを、進学するための費用として貯めたりする子や、学生ローンを組む子供が多数います。カレッジの時かなり年下の同級生と話しても、すごく自立しているなぁ、と感じることも多く、聞くとみな親元を出て生活していました。そういう経験から、18歳で家を出るので大人っぽく感じるのかな、とも思いました。ただここ数年で、授業料が値上がりしたため、家賃を払えず実家から通う若者が増えたそうです。

わたしがとったコースは、ビジネスクラスでほとんどがカナダ人、留学生や移民は2割弱。そこで感じたのは、まずカナダの若者たちのプレゼン能力の高さです。カナダの学校では、小さい頃からPublic speechと呼ばれるスピーチを練習する時間があり、子供たちはクラスメイトの前で話すことを徹底的に練習します。そのおかげで、大勢の前で話すことにまったく抵抗がないのです。身振り手振りも大きく、冗談を交えながら笑顔で大勢の前で、自信満々に話す若いクラスメイトたち。圧倒されました。はっきり言って、話している内容は大したことはないんですよ。結構当たり前のことを話しているんですけど、まるで自分が発見したかのように話すスキルが、圧巻です。わたしは、当然英語にもアクセントがありますし、人前で話すなんてなかなか今まで機会がありませんでしたし、ガチガチでした。

そして、何事にも自信満々な態度。もちろん、良し悪しはあるでしょうが、やはり自己肯定感が高いからなのでしょう。こちらでは、自分の意見がとても重要です。たとえ、それが明らかに間違っていることでも、まずまわりが肯定から入ります。頭ごなしに否定することは、ほとんどありません。もちろん、差別的な意見などは別ですが。自分と違う意見でも、それを一度許容してから、自分の意見を述べる、という感じです。激しい討論になることがあっても、お互いの意見を尊重します。その下地があるから、若くても堂々と意見を言えるようになるのだな、と思いました。

日本と北米、どちらの教育がよいか、と話すことがありますが、わたしの考えだとどちらも一長一短でしょうか。自己肯定感や独創性を重視するなら、北米。基礎知識、一般的常識などを伸ばすなら、日本。北米はのびのび子供が育ちそうなんですけど、大学に入るまではかなり学力のばらつきがあるように思います。わたしが行った短大でも、数学の授業があったのですが、小数点の付け方に戸惑うクラスメイトがいて、衝撃でした。小さい頃から、授業中に電卓を使いますから、日本のような九九は覚えません。なので、数字に弱いという印象があります。それに比べて、インド人を筆頭に、日本人、中国人、韓国人の暗算能力は、すごいものがあります。ただし、北米人で数学の得意な子たちの自由な閃きは、アジア人にはないものがあります。あと北米人の基礎知識は、かなり怪しいものがありました。世界地図や他国の歴史について、ほぼ知らない子たちも多かったです。例えば、日本がどこに位置している国なのか、まったく知らない、とか。世界史についても、本当に基礎的なことを知らなかったりと時々驚くようなことがありました。日本は詰め込み式で考える力が育たない、と言われますよね。それも確かにそうなんですけど、まんべんなく一般的な知識を学ぶカリキュラムは、素晴らしいと思います。識字率がほぼ100%の日本は、間違いなく世界に誇れる民族だと思います。ただ島国なので、世界基準の考えから、遠のいてしまうことがあるのが残念なところでしょうか。これから人口減少していきますが、今までは一億二千万の人口によって、国内の需要でなんとか経済が回ってきたと思うんです。でも、これからは世界を考えていかないと先細りになってしまいますよね。日本人に足りないもの、それはずばり、マーケティングとプレゼン能力です。

ものづくりニッポンは、素晴らしいものがたくさんあるのに、世界に届かない。それは、その商品がどこに必要なのか、誰が必要としているのか、全て日本基準だからだと思います。例えば、昔日本の電化製品で、ファジーボタンというのが付けられました。ああいうのは、日本人にはウケるのかもしれませんが、北米では全く必要ありません。それよりも、故障せず一日でも長く使える頑丈で基本的なシステムの方が好まれます。そして、それを強力に推していくプレゼン能力も、北米人には負けてしまうのかも。

長くなりましたが、カレッジに行って感じたことを書いてみました。あくまでも、個人的見解です。

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